アッチョンブリケな一瞬。

しかし、異変が起こったのは、そのしばらく後でした。
お好み焼きを15時のおやつとして、一緒に水分も摂って頂くため、声かけがあれば自力摂取して頂ける利用者さんに、水分補給の半介助をしていた時でした。
何の問題もないことをしていたはずの私。
そんな私に、怖い職員さんがつかつかと近付き、私が利用者さんと一緒に持っていたお茶の湯のみコップを無言で取り上げたかと思うと、 『?』 状態の私に、 「おむつ交換行くよ」 と一言。
「は、はいっ」 と返事しながらも、頭の中は 『何故? 何故私??』 と、クエスチョンマークがてんこもり。
その場には、沢山の職員さんがいたのに…仲の良い職員さんとのペアではなく、私を選んだ……?
これも、 「新人に教える」 ということなのでしょう。
いつにない緊張感で、ミスのないように補助をします。
居室に2人っきり。
もともと私は無口ですし、無言です。
それが続くものなのだろうかと思っていた矢先。
初めに口を開いたのは、その職員さんでした。
「彼氏、おるん?」
唐突な質問でした。
「えっ…え、えぇ、はい、一応…」
ドギマギしながらも、少々にこやかな会話をして。
ちょこちょことした会話の後、 「へぇ、そうなん!」 という言葉と一緒に、一瞬心に映ったのは…
今まで見たことのない、その職員さんの、最高の笑顔でした。


もっと長く時が続いて欲しいと願ってしまった、今日の1番の幸せでした。